JR気仙沼線、大船渡線はBRTによる復旧へ。BRTのメリットとデメリットとは

JR気仙沼線、大船渡はBRTによる復旧へ

JR気仙沼線と大船渡線は仮復旧中

今回取り上げるのは、東日本大震災の津波により甚大な被害が発生したJR気仙沼線とJR大船渡線の一部で2012年からスタートしたBRTについてです。

BRTとは英語の「Bus Rapid Transit」の頭文字を取って略されたバス高速輸送システムです。
鉄道などの専用軌道にバスを走らせる公共交通で、鉄道に近い定時性を持たせる意味があります。

日本においては、廃線跡を利用したバス専用道路を走る路線や、一般道に専用路線を設けている路線などが存在します。

JR気仙沼線とJR大船渡線の場合、当初は線路が新たに敷設するまでの代替手段としての運行という位置づけでした。
しかし、2015年7月にJR東日本からBRTの継続による本格復旧が提案され、沿線各自治体の首長も、費用などの面から概ね同意している状況です。( 参考リンク: <BRT>沿線5首長 本格復旧どうみる(河北新報 ONLINE NEWS) )

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このBRTは、元々運行していた一部区間に加え、鉄道と併走する区間が作られるなどより利便性を高める動きが出てきています。

以下、河北新報のニュースを抜粋します。

震災以降、JR気仙沼線の一部不通区間で運行しているBRT(バス高速輸送システム)が6月27日、内陸部の前谷地駅(石巻市)まで延伸になる。

 延伸区間は、柳津駅(登米市)から前谷地駅までの約19キロ。同区間はこれまでも鉄道が運行していることから、BRTとの平行運行になる。

 同区間の運行には三陸自動車道は使わず一般道を使う。また、途中停車駅は設けず直行便とし、気仙沼-柳津間を運行する15本のうち10本を前谷地まで延伸して運行するほか、新設する柳津-前谷地間には一日9本を運行する。これにより、生活の足としてはもちろん、乗り継ぎにより気仙沼-石巻・仙台間の利便性を高めた。新設区間の所要時間は約35分。

引用元: 気仙沼線BRTが石巻・前谷地まで延伸 仙台への利便性向上も (三陸経済新聞)

ところで、このBRTには鉄道と比べるとメリットとデメリットが存在しますが、それについて以下で解説します。

BRTのメリット

BRTのメリットとは

一般的なBRTのメリットとは、鉄道に比べて車両単価の低いバスを使用することで、損益分岐点を大きく引き下げられる点です。

これは、経営の黒字化を容易にすることが目的と言え、少子高齢化のすすむ現在において、専用道を走らせる事で、地方公共交通をバスでありながらバス路線より利便性の高い状態に維持できることは、地方自治体にも大きな利点があるといえます。

このため、全国で見ても、今後廃線になる鉄道が出てくる地域では、新たな路線が出てくる可能性の高い交通政策であると言えます。

また、1本辺りのコストが安いため、本数を増やすことも容易なことも大きなメリットと言えます。
延伸についても同様で、専用道が無くても通常の道路さえあれば、延伸は比較的容易と言えると思います。

BRTのデメリット

BRTの一番のデメリットとしては、鉄道とは違い運行本数を減らすことがたやすいことがまず挙げられます。

鉄道は容易に無くすことは難しいですが、バスは鉄道より撤退しやすいため、たとえ低コストでも赤字続きとなれば、減便や運休となる可能性も否定はできません。

また、延伸などで専用道を走る時間が短くなると、渋滞による遅延リスクも高まります。
渋滞が無い定刻発車はBRTの大きなメリットですが、そのメリットが失われてしまう場合もあります。

JR気仙沼線のBRTについて

さて、JR気仙沼線では、「柳津駅」~「気仙沼駅」までの55.3kmにJR東日本の代行バスが運行され、「柳津駅」から「前谷地駅」まで延伸のうえ現在(2015年9月)はBRTの運行が続けられています。

鉄道と同額での乗車ができ、企画乗車券類での乗車も可能です。
この試みは大船渡線、山田線も含めたモデルケースと位置づけられ本数も鉄道時代より増やされています。

しかし、BRTの運行上の大きなメリットである「専用道を走るため渋滞に巻き込まれずに遅れない」ことは、元々が鉄道線路だった専用道は車道の幅が狭いため、大型バスがスピードを出すには十分ではありません。

このため、気仙沼線ではバス同士がすれ違う際には、行き違いのため停車が発生することもあるようです。
また、一部で一般道に乗り入れる区間も存在している、という点も問題としてあげられます。

気仙沼市に近い区間の一般道は、交通量も多い道路のため、特に朝のラッシュ時の気仙沼行きは大谷海岸駅付近の交差点で渋滞に巻き込まれることが多く、「遅れ10分」などなってしまうことが多いようです。

こうした方式で多く挙げられるデメリットである「専用道でない場所で渋滞に巻き込まれるリスク」は、気仙沼線でも回避しにくい問題となっています。

JR気仙沼線のBRTについて

最後に、冒頭で書いたJR側からのBRTの継続による本格復旧案ですが、この大きな理由は、鉄路を復旧させる場合は約700億円の費用が掛かり、JR単独の負担が難しいことが挙げられています。

また、線路の敷設にも数十年単位の期間がかかるため、高台の用地確保も含めて実現性が薄く、今回の判断は現実的なものと言えると思います。

利用者増が見込みにくい地域交通としての難しさは大きな課題となりますが、各首長も懸念している経営上の理由からのBRT減便や、将来的な運休については慎重に考えるべきで、利用者の意見を取り入れた運行を検討して欲しいと思います。

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