仙台・東北薬科大学の医学部新設はなぜ批判されるのか

仙台 東北薬科大学が医学部新設

今回取り上げる内容は、色々と話題に上っている仙台の東北薬科大学の医学部新設についてです。

3/31に設置認可が正式に申請され、今後は東北医科薬科大として医学部を設置する形となりますが、このような新しい動きに関しては批判が付きまとうもの。

今回は、この東北薬科大学の医学部新設への批判的な意見を中心に取り上げていきます。

 

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以下、まずは医学部の申請に関するニュースを引用します。

 

東北薬科大(仙台市青葉区)は31日、文部科学省に医学部の設置認可を申請した。文科省大学設置・学校法人審査会の審査を経て8月には文科相が認可する見通し。全国では1979年の琉球大(沖縄県)以来、37年ぶりの医学部新設となる。

 薬科大の構想によると、新医学部は2016年4月の開設を目指す。大学の名称は「東北医科薬科大」に改める。入学定員は100人、教員医師は183人の採用を予定している。医学部に32億円、付属病院に60億円の整備費用を見込む。

 キャンパスは宮城野区の薬科大付属病院(466床)隣接地を買収、賃借して整備。さらに仙台医療圏の2病院を譲り受ける。18年度までに150床程度の新病棟を建設し、600床程度の本院と130床程度の分院に整理統合する。

 一方、修学資金制度や連携病院をめぐっては、関係する東北6県の自治体との調整が遅れており、薬科大は「新設医学部に求められるミッションを果たすため、さらに努力する。ほっとする暇はない」と話す。

 新医学部は、東日本大震災からの復興支援として東北に1校だけ設置が認められた。

引用元:<新設医学部>東北薬科大が設置認可を申請(河北新報 Online News)

 

東北地方への医学部新設の経緯について

東北薬科大学への医学部設置の経緯とは

 

そもそも日本においては、国の方針により、新規の医師の数を抑制するため、医学部の新設は長い間凍結されていました。

しかし、東日本大震災の発生を受け、被災地では開業医を中心に多くの医師が廃業したことで、深刻な医師不足が発生しました。

このため、これを期に東北地方に医学部を新設し、医師不足を解消すべきという気運が盛り上がり、文部科学省も1校だけになら医学部の新設を認める方針に転換しました。

 

東北地方では、政府の医学部新設の方針を受けて、いくつかのグループが新設に名乗りを上げました。

有力候補として残ったのが、仙台厚生病院と東北福祉大学が共同で運営しようとするグループ。

一時はここに決定するかに見えましたが、直前になり東北福祉大学側から辞退したい旨の申し出が有り、仙台厚生病院では、急遽宮城県に協力を要請し、宮城県ではほとんど時間の無い中、村井宮城県知事がこの要請を受け既設の宮城県立大学に医学部を新設し、仙台厚生病院と連携することを文部科学省に申請しました。

文部科学省では、審議した結果、この申請をしりぞけ、すでに申請されていた東北薬科大学の医学部新設を認める決定をしました。

 

医学部新設が批判される理由の一つ、「教員・看護師の人材確保」

医学部設置の課題

 

さて、この会議で最後まで残った問題が、先の動画でも触れられていた、教員(医師)や看護師の人材確保と医師の地域定着策で、これらは決着が付かないまま、2016年度の開講に向かって進んでいます。

 

今回の決定を実現させるため、文部科学省は教育運営協議会を設置し、医学部設置の問題点を協議させましたが、同協議会の委員は同大学に対し、協議会の進め方について異議を唱え、医師の地域定着策と地域医療に影響しない教員と看護師採用について、再度協議会を開催し、議論を尽くすことを求めました。

この教育運営協議会は東北6県の医師会、大学の医学部に医科大学、県の代表者と東北薬科大学の委員で構成されています。

教員と看護師採用については、東北薬科大学側が、地域医療に影響を与えない職員の採用を約束することで解決しました。

しかし、この教員の採用で、現場医師が地域から引き抜かれる懸念があり、未だ反発は続いています。

 

また、東北薬科大学側は、入学してきた学生の内、学費の支払いが困難な学生に対し修学資金を貸し出し、その条件として卒業後に一定期間地元の医療機関での就業を義務づけ、受け入れた病院に対し、学生に貸し付けた就学資金を返却させようとしました。

しかし教育運営協議会の一部の委員は、この仕組みに対し、修学資金の貸付を申し込む学生がいるか不確実であることと、学生を受け入れる病院があるかどうかに懐疑的でした。

この疑問に対しては、実際、学生を募集してからでないとわからない部分もあり、今後の検討課題とされました。

懐疑的な意見を出している委員には、医師会に所属する委員がいて、医師の増員に反対する医師会の意向が働いているとの見方もあります。

 

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