職人の技ここにあり。国の伝統的工芸品に指定された仙台箪笥の特徴とは?

仙台箪笥が国の伝統的工芸品に指定

宮城県には、仙台箪笥の他にもこけしや、鳴子漆器など数多くの伝統工芸品がありますが、仙台箪笥がこのたび、経済産業省により伝統的工芸品としての指定を受けることとなりました。

江戸時代末期にその原型が誕生したと言われています。
伝統的工芸品の指定を受けたことにより仙台箪笥の企画展なども若林区役所近くの若林区文化センターで開かれ、仙台箪笥は今後の知名度向上や販路拡大が期待されます。

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以下に、仙台箪笥を取り上げた河北新報のニュースを抜粋します。

江戸時代から続く宮城県の仙台箪笥(たんす)が新たな歴史を刻み始める。6月までに法律に基づく国の「伝統的工芸品」に指定されることが決まり、業界にとっては30年来の悲願が実ることになった。ただ、職人の高齢化など課題は多く、販路拡大も急務。仙台箪笥協同組合は今後、国の助成を受けながら振興策を探る方針だ。

 指定を受けると、製品に「伝統マーク」のステッカーを貼ることができ、職人は認定試験を経て伝統工芸士の称号を受ける。組合で申請の中心的な役割を担った湯目吏吉也さん(37)=仙台プロクイックサービス社長=は「製品の価値を高めるとともに、職人さんも誇りが持てるようになる」と取得のメリットを説く。

 組合によると、14年度の業界の売上高は約1億5700万円。全盛期の1928年(約1億3700万円)と金額は変わらず、貨幣価値を考えると衰退ぶりが見てとれる。職人数も現在114人で、当時の6分の1以下に減った。

引用元: 仙台箪笥が大きな飛躍 国の伝統的工芸品に (河北新報 Online News)

そもそもの箪笥の歴史

箪笥とは何か

そもそも箪笥(たんす)とは、引き出しを備えた日本の古典的な収納家具の名称で、英語でもこうした和箪笥のことは”Tansu”と呼ばれています。

庶民の収納には竹製の行李、木製の長持といった箱が広く使われていましたが、箪笥はその複雑なつくりから製造過程において多くの材料と高い技術を要してしまうため、長い間庶民にとっては高級品でありました。

しかし、経済の成長を経た江戸時代末期になると、庶民にも衣類などの持ち物が増え、箪笥を持つ必要性が広がっていき、暮らしが豊かになるにつれて、衣装のための箪笥、食器などを収納するための茶箪笥、帳面を入れるための帳箪笥、薬を入れるための薬箪笥など、さまざまな形の箪笥が用途に応じて発展することになりました。

そのような箪笥の歴史の中で、箪笥は持ち主の地位を定めるための調度品としても重宝し、デザインや装飾が施され日本の各地で独自に発展していきました。

仙台箪笥とは何か

そのような箪笥の歴史の中で、高い評価を受けているのがこの仙台箪笥です。

武士たちが刀や羽織を納めるためのものとして作られたこの箪笥は「野郎型」と呼ばれ、身近な生活材として愛用され、主に刀の鞘や、裃(かみしも)を納めることを目的として作られたため、大きさは幅4尺(約120センチ)、高さ3尺3寸(約100センチ)のものが主流となっています。

仙台箪笥の特徴

仙台箪笥は「指物」、「漆塗り」、「金具」、の3つの熟練した職人技によって作りあげられていきます。

箪笥の基本である「指物」とは、釘などの接合道具を使わずに、木時を組み合わせて作る技法のことです。
熟練の指物師によって、長年の使用に耐えられるよう、木の性質を見抜き、組み立て、形が仕上げられていき、仕上がった指物には塗師が美しさと強度を作り出していきます。

塗師は木地の表面の凹凸を消した後、根気よく透明な漆を塗り重ねていきます。

仙台箪笥の前面には地元のケヤキや栃などが主に使われますが、その木目の美しさが浮かび上がらせるこの漆塗りの手法は「木地呂塗り」といわれます。
透明な漆を10回、多いところでは30回も塗り重ねることにより、その美しさは増し、さらに強度も備わっていきます。

そして仙台箪笥の特長的な魅力を生み出しているのが、箪笥に取り付けられた大型の飾り金具です。

かつて刀剣工房などで刀の金具を作っていた職人によりこの技術は発展していきました。
金具師により、竜や唐獅子、牡丹や菊などの様々な文様が繊細に、かつ大胆に掘り出され、箪笥の大きさにもよりますが、一つの箪笥に100〜200もの金具が取り付けられていきます。

今回の伝統的工芸品としての指定を受けたことにより国の助成を受けられるようになったこの仙台箪笥ですが、今後は知名度向上とともに、この熟練の技が末長く継承されていくことが課題になりそうです。

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