新たな命の防波堤、仙台の東部復興道路とは何か?

東部復興道路の工事が2015年度から本格化

東部復興道路の工事が進む

 

東日本大震災において、仙台港から阿武隈川河口まで続く長い海岸線に押し寄せた津波は、仙台平野に侵入した後、海岸から3km程のところに海岸線と平行して通る、10メートル以上の高さのある仙台東部道路によって概ねくい止められましたが、それも完全ではありませんでした。

この区間の震災復興を進めるにあたっては、仙台平野を今後の津波からどのような方法で守るかが検討され、その結果、海岸線と仙台東部道路の間を通っていた県道塩竈亘理線をかさ上げして整備し、仙台東部道路とダブルで津波を食い止めようとする計画に至り、この道路は「東部復興道路」と名づけられました。

 

この東部復興道路は2015年度に工事が本格化し、2018年度の完成を目指しています。

今回は、この東部復興道路の詳細と、その事業予算となっている復興交付金について記事を書いていきます。

 

スポンサーリンク

 

東部復興道路の詳細

盛り土などは震災瓦礫を用いる

 

この東部復興道路は、道路幅10メートルの2車線で、盛土の下幅は30m~40m程度で、路面を周囲の地面より約6メートル程度高くすることで、津波発生時には国が行う海岸の防災林や堤防との多重防災の機能を果たす役割が求められています。

道路が整備される区間は、仙台市宮城野区の七北田川河口付近から同市若林区の名取川河口まで延べ長さ約10キロメートル。

ちょうど名取川の河口から沿岸に沿って北上し、蒲生干潟や日和山のある辺りまで延びることになります。

※なお、以前記事を書きましたが、仙台の日和山は日本一低い山に認定されています。(→日本一低い山・仙台の日和山へのアクセスとその歴史について)

 

 

工事は現在の県道塩竈亘理線に沿って海岸方向に盛土して建設し、現在の道路は側道として残ります。

盛土に必要な土砂の4割を、東日本大震災の津波で生じた堆積土砂やコンクリートがれきを活用して使い、震災ガレキの有効活用がなされています。

 

他地域の津波対策はどうなる?

ところで、東部復興道路が計画される前は、この地域の津波被害者の中には、現地での再建をあきらめる意見も多く聞かれましたが、計画後は、津波対策の効果が期待でき、現地再建を希望する人にとって積極的な材料になると期待されています。

仙台港北部の多賀城、塩竈及び松島でも、人的被害を含む多くの被害が出ましたが、地形的に有利なこともあり、今後の津波対策は、主に海岸線での比較的高さの低い堤防の設置によってなされます。

 

さらに北の石巻から気仙沼にかけては、津波浸水地域において将来住民が戻る意向である地域については、場所によっては、高い堤防によって津波を防ぐ計画がされています。

この地域はリアス式海岸で、湾の入り口が広く、奥に行くにしたがって幅が狭くなる地形では、津波の高さが数倍になり、甚大な被害につながりました。

住民や識者の一部に、堤防が高すぎるとの批判がありますが、将来とも住民の生命を守ることを責務と考える宮城県知事以下、行政当局の意向で、堤防工事が実施されています。

 

東部復興道路の事業予算となっている復興交付金について

さて、東部復興道路と避難道路を合わせた総事業費は200億円を超えるものとなっています。

仙台の復興事業においては、仙台市役所に復興事業局が設置され、今回紹介したような東部復興道路に代表される、様々な復興事業が行われており、これら復興事業局の復興事業を支えるのが復興交付金です。

 

復興庁の資料では、復興交付金を「東日本大震災により著しい被害を受けた地域において、災害復旧だけでは対応が困難な市街地の再生等の復興地域づくりを、一つの事業計画の提出により一括で支援」するものと定めています。

また、「復興地域づくりに必要な事業の幅広い一括化、自由度の高い効果促進事業、全ての地方負担への手当て、基金による執行の弾力化等、既存の交付金等を超えた極めて柔軟な制度」とも定めています。

この復興交付金によって、東日本大震災の被害地域は復興事業を進めており、仙台もその地域の一つにあたります。

 

津波対策

 

復興交付金に基づき、仙台市では、仙台市復興交付金事業計画を策定し、具体的な内容として「100万人の復興プロジェクト」を掲げ、主たる10項目のプロジェクトを定めています。

このプロジェクトの中の1番目にあたる「津波から命を守る」津波防災・住まい再建プロジェクトが、今回の東部復興道路建設にあたります。

これは市街地にいたるまでに、海岸堤防、海外防災林、丘状の公園、かさ上げした県道を備え、津波の防御態勢を備えます。

また、このプロジェクトは避難のための施設も確保することも挙げられており、以前記事にした津波避難タワーもこのプロジェクトの中心を担っています。(→津波避難タワーの欠点とは何か)

 

スポンサーリンク