津波避難タワーの欠点とは何か

全国各地で建設が進められてる津波避難タワー

東日本大震災で亡くなられた方の多くは、津波による被害で犠牲となりました。

被災3県である、宮城県、福島県、岩手県は、地形上津波の被害を受けやすい事から、住民の津波に対する防災意識も高く、地域一体となって様々な対策を行ってきた地域でもありますが、絶対安全とうたわれてきた様々な防災設備はことごとく破壊され、結果多くの方が犠牲となってしまいました。

この震災において、津波が発生した時に、生死を分けたポイントは何だったのかと振り返った時、「真っ先に避難する」という事が最重要ポイントだと分かりました。

そこで、今津波対策として、全国各地で建設が進められてるのが今回のテーマの「津波避難タワー」です。

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今回、まずは仙台市宮城野区中野に完成した津波避難タワーのニュースを掲載します。

東日本大震災を教訓に仙台市が沿岸部で整備する津波避難施設計13カ所のうち、最初の津波避難タワーが宮城野区中野5丁目に完成し、14日に住民対象の完成報告会と利用説明会が開かれる。

 タワーは鉄骨製、高さ9メートルで約300人を収容できる。車いすやベビーカー利用者に配慮し、スロープを付けた。高さ6メートルの2階部分を避難部屋としてトイレ3基と発電機1基、防災行政無線設備1基を設置。毛布や非常食も備蓄する。建設費は約2億3000万円。

 市はさらに2016年度までにタワー型5カ所、消防団施設併設のビル型5カ所を建設するほか、宮城野区の高砂中と岡田小で屋上につながる外階段の設置を予定している。
 完成したタワーは、3月の国連防災世界会議の際、本体会議出席者の公式視察先となる。

引用元:仙台市最初の津波避難タワー完成 中野(河北新報 Online News)

津波で甚大な被害を受けた仙台港近辺のエリアに設置されたこのタワーは、仙台市内で初の津波避難タワーとなります。

これまで沿岸部の主な高層の施設といえば、仙台港近辺の企業の工場の一部や、民営化され運営が委託される仙台空港のターミナルビルくらいでしたが、一般の方が避難できるような場所は公共の施設などのごく一部に限られており、沿岸部における避難場所の役割を果たす存在となり得ます。

なお、この津波避難タワーが設置される仙台市宮城野区中野5丁目の全体マップは以下の通りです。

津波避難タワーとは何か

津波から逃れるための避難タワー

津波避難タワーとは、前述の記事のとおり、数メートルから数十メートルの高さの鉄製の骨組みの上に住民が一時的に避難出来るタワーで、タワー内には食糧などが備蓄されており、東北地方に限らず、近年必ず起こると言われている東海地震や南海地震などを想定し、主に太平洋沿岸部の多くの自治体が設置を勧めています。

この津波避難タワーは、鉄筋コンクリート製から鉄骨むき出しのものまで様々なスタイルのものが存在し、構造や強度などの安全性についての国の基準はまだ定められていなく、各地域ごとの事情に応じて設置されており、多くは居住地域に近い浸水想定域内に設置・計画されています。

※高層ビルや高台が少ない地域では「人口の高台」として国が推奨しています。

なお、3月に仙台で開かれる国連防災世界会議のサイトでもこの津波避難タワーについての情報が掲載されています。

津波避難タワーの欠点

津波の侵入を防ぐ事より、命を守るためにまず避難すること。

津波に対する防災意識の変化の中で生まれたこの津波避難タワーは、すぐに高台へ避難する事が困難な場合に、画期的な防災対策であるのは間違いありません。

しかしタワーも構造物であるため、耐久性や高さ共に限界があり、100%安全といえる代物ではありません。そのうえ、住宅地に近い場所に設置されているため、避難の誘導効果を持ちやすい存在でもあります。

標高の低い沿岸部でその特徴が顕著に表れており、専門家が被害シュミレーションを行ったところ、津波避難タワーを設置する事により、かえって犠牲者数が増えるケースがある事が分かっており、想定以上の津波が来た場合、相当の犠牲者を生む危険性があると指摘されています。
(それこそ、東日本大震災で仙台港にて記録された10メートル超の津波が来たらどうしようない場合がありますし、将来的な津波の最大値というのは不明です)

勿論、あくまで犠牲者が増えるケースがある”場合”があるだけで、震災で低層の建物に避難したことで津波の犠牲になられた方もいたことを考えると、有効な対策であることは間違いありません。

あくまでこのケースは、住民が避難の選択肢のなかで居住地に近い津波避難タワーを選択した場合に、高台と反対の海岸方向に逃げるケースが生じるためで、避難の基本は、多賀城の「末の松山」など、安全な避難場所として認知されている場所など、あくまで標高の高い高台へ迅速へ向かうことです。

来たる大地震に備えて、改めて津波被害から身を守るための正しい避難方法を見直す必要がありますし、仙台市で開催される国連防災世界会議がその一つのきっかけにもなると思います。(→国連防災世界会議が仙台で開催。忘れつつある防災意識を高めるために)

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