実はとってもデリケート?水族館でヨシキリザメの飼育が難しい理由

仙台うみの杜水族館でのヨシキリザメ飼育の取り組み

ヨシキリザメを水族館で飼育するには

今回の記事で取り上げるのは、大型の回遊魚であるヨシキリザメというサメです。

このヨシキリザメは太平洋沖合に生息しフカヒレの原料ともなっていますが、実は水族館での飼育が難しい種類として知られています。

2015年7月にオープンしたばかりの仙台うみの杜水族館では、このヨシキリザメの飼育に挑戦しようとしており、以下のニュースにその模様が報じられています。

高級食材フカヒレの原料として知られ、長期飼育が難しいヨシキリザメの展示に、仙台うみの杜水族館(仙台市宮城野区)が挑戦している。
開館前の昨年7月に取り組み始めて1年余り。いまだ成功には至っていないが、地元三陸ゆかりの魚が悠々と泳ぐ姿を紹介しようと奮闘している。

 「最初は元気だった。今度こそうまくいくかと思ったのに」。うみの杜水族館魚類飼育担当の大谷明範さん(35)は8月6日早朝、ヨシキリザメが死んでいるのを見回り中に見つけた。7月30日に捕獲し、メーンの巨大水槽(水量約990トン)に展示。慣れた様子で泳いでいたが、8月2日に餌への反応が鈍くなり、3日後には全く食べなくなってしまった。

 2日現在、これまでに捕獲した15匹は全て死んだ。最も長く生きたのは開館前の昨年7月24日~9月29日の68日間。回遊性のあるヨシキリザメの飼育例は国内でも少なく、試行錯誤の状態だ。苦戦の原因ははっきりとは分かっていない。

引用元: <うみの杜水族館>ヨシキリザメ飼育に奮闘中 (河北新報 ONLINE NEWS)

ニュースによると、2015年現在、日本国内においてヨシキリザメを飼育している水族館は無いとのことで、この事実だけを見ても相当飼育が難しい魚であることが分かります。

今回は、このヨシキリザメの生態についての情報や、水族館での飼育が難しい理由について詳しく見ていきます。

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ヨシキリザメってどんなサメ?

ヨシキリザメはメジロザメ科の魚で、別名ミズザメ、アオナギ、グタ、アオブカなどとも呼ばれています。

全世界の熱帯から亜寒帯に分布し、目の後部には噴水孔がなく上下顎歯には鋸歯縁があること、第一せびれが胸びれよりも腹びれに近いことが特徴です。
主にイカや硬骨魚、亀などを食べて生活しており、細長い体と大きな胸びれと鮮やかなインディゴブルーの背の部分や純白の腹の部分が大変美しいことも大きな特徴の一つです。

ヨシキリザメは分布が広く水温が7~15度の海域を好み亜寒帯付近では表層付近に生息し、熱帯部では深いところに多く見られます。
一般的に外洋性といわれていますが、浅海や沿岸域にも侵入することがあり、海水浴場近くで目撃される例もあるほどです。

人を襲う危険性の高いサメですが、ハンドバッグなどの革製品、フカヒレ、薬品の材料など幅広く使用されることから、世界的に乱獲が進み、現在では個体数が少なくなっているとも言われています。

サメは実はデリケートな魚

仙台うみの杜水族館の大水槽を泳ぐシュモクザメ(ハンマーヘッドシャーク)をはじめ、サメは水族館でも高い人気を集める存在です。(→【画像】仙台うみの杜水族館に展示予定の魚や海獣たちについての解説

しかしうまく飼える種類もありますが、それはほんの一部で、基本的にサメの展示は難しく、中でもヨシキリザメは困難なものと言われています。

サメは海では何でも食べてしまう強力な捕食者であり、超大型で数も多いためオーストラリアなどでは捕殺されているほどです。
ただそんなサメは、実は水槽に入れば途端に臆病となり、あっという間に死んでしまうデリケートな魚でもあります。

ヨシキリザメの飼育が難しい理由は、外洋を回遊する大型の魚のため、生体に適した環境を再現するのが難しいということがあげられます。

体にあわせた大きな水槽を作るのも難しく、もし作れたとしても展示に耐えられるほどのクリアな視界を確保するためには、清掃などの維持管理が難しいということもあります。

ヨシキリザメの最長飼育記録は244日ですが、これは当初から広い水槽での飼育を始めたため長い期間飼育する事ができたと考えられています。

サメに限らず、マグロなどの回遊魚は、狭い水槽のなかで飼育するのは大きな苦労と研究が必要となります。

どんなにテクノロジーが進んでも、自然と人工の違いを埋めることはなかなか難しくまだまだ課題の多い問題です。

水族館でのサメの飼育について

ヨシキリザメの生態

水族館には、小さな魚から大きな魚までいろいろな種類が泳いでいます。
小さな魚は群れで、そして大きな魚は単独でゆうゆうと泳いでいる様を見ることができます。

その中で泳ぐサメは、他の魚を食べてしまわないのか気になるところですが、餌を充分に与えていれば、他の魚を食べることはありません。

実際空腹にならないようにきちんと餌が与えられているので、一緒に泳ぐ他の魚を食べたりはしません。

また誤って他の魚を食べないように、サメと同じ水槽で泳ぐ小さな魚と、餌として食べる魚は別の種類の魚にすることで誤って食べてしまうことを防いでいます。

発光するようなブルーが印象的なヨシキリザメは、もっとも美しいサメとも呼ばれています。

水中から引き揚げると途端に暗灰色に変化してしまうので、美しいブルーの色彩を見るのは、水中を泳いでいる時だけです。

そのため今後技術や研究が進み、水族館で泳ぐ姿を見ることができるかもしれません。

※なお、ヨシキリザメの展示を目指している仙台うみの杜水族館のレポートについてはチケットは混雑?仙台うみの杜水族館の感想 (前編)の記事を参照ください

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